クロザピン(商品名クロザリル)は、「治療抵抗性統合失調症」に使用できる抗精神病薬です。「治療抵抗性統合失調症」とは、他の抗精神病薬(統合失調症の治療薬)で十分効果が得られない、または副作用が出現するために十分に薬を増やすことができない場合と定義されます。1988年に治療抵抗性統合失調症への有効性が確認されて以来、世界中で用いられています。日本には約69万人の統合失調症の患者さんがいると推計されています(平成29年厚労省患者調査)。統合失調症のうち、20~30%が治療抵抗性といわれているため、わが国では12~20万人の治療抵抗性統合失調症の患者さんがいると推測されます。しかし2014年の調査では日本では人口10万人当たり0.6人しか用いられておらず、諸外国に比べると使用率は低く、クロザピンを必要とする患者さんのもとに十分に届けられているとは言い難い状況です。徐々に使用割合は増加していますが、未だに使用割合が低いのが現状です。治療抵抗性が確認されて3年以上経つとクロザピンの反応性が低下するともいわれており、必要な患者さんには早急に治療を開始すべきと考えます。私たちは、クロザピンが適応かどうか悩んでいる患者さんやご家族のご相談を受けるため、クロザピン相談外来を始めました。
各国の人口10万人当たりのクロザピン処方割合(2014年)
(出典: Bachmann C.J., et al., International trends in clozapine use: a study in 17 countries. Acta Psychiatr Scand, 136(1); 37-51, 2017)
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